告白します

世界はサッカーW杯で燃えてますね!!

日本代表もアルゼンチン代表もそれぞれ感動を与えてくれて、とても機嫌のいいアクセルです^^

 

普段はあまりサッカーを観戦しない人達も取り込んで盛り上がる、ワールドカップの魔力は凄まじい!!

 

 

さて、アルゼンチンタンゴ界も大会シーズンです。

ブエノス・アイレスで8月に行われる世界大会に向けて世界各地で熱い戦いが繰り広げられていますっ!

日本ではつい先週末にアジア大会が行われたばかりです。

 

 

もうすぐ昨年の世界大会から1年経つのかぁ、、、と振り返ったりします。

この1年間は日本全国、国外にも何ヶ国も行ってパフォーマンスをしたりワークショップをさせて頂きました。

 

 

行く先々で初めて僕(僕ら)の踊りを見た方々に「感動した!」と言って頂けたり、昔から僕を知っている方々には「成長したね!」と褒めて頂けたり、なんともダンサー冥利につきた生活を送りました。

 

告白します

 

さて突然ですが、ツアーを終えていま日本に1人で帰ってきて思うことがあります。

正直に告白しなければなりません、、、、

 

 

 

 

何を?

 

 

 

 

 

 

 

実は、、、

 

 

 

 

 

 

「ダンスが下手になりました」

 

 

 

 

 

「え!?この1年間、世界各地で踊りまくってたんじゃないの?何で下手になるの?」という声が聞こえてきそうですね。

もっともな意見ですが、、、、

 

 

大雑把な言い方をしたので、言い直します。「昨年の今頃に比べてテクニックが落ちた」が正しいですね。

更に掘り下げて言うと「個人能力が落ちた」と言うべきかもしれません。

 

 

この10ヶ月間の間ショーやデモなどの本番ばかりで、ゆっくりとトレーニングや基礎練習をする時間がほとんど取れていませんでした。

「100回の練習より1回の本番」という言葉があるように、本番から得る経験値というのはとても大きなものです。

 

 

たくさんの本番を通して緊張への立ち向かい方や、アクシデントへの対応、パートナーを信じる事、観客は何を求めているのかなどを学んできました。

しかしながら「テクニック」という点においては、地道な基礎練習以外に高める方法はありません。

 

 

練習不足のまま本番を繰り返し、クオリティの落ちた踊りを見せたり、ミスをしたり、、、そのままの状態で何度もパフォーマンスを繰り返していると、醜態を晒す事に慣れてしまった「面の皮だけ厚いダンサー」が出来上がります。

 

実は結構います。そういうダンサー。

 

特にアルゼンチンタンゴ業界はかなりその傾向が強いです。

 

「タンゴは不完全なもの。」

「大事なのはテクニックじゃない!」

 

よく聞く台詞です。

正しいと思います。

が、それを免罪符にして怠けて、質の低い踊りをして偉そうにしていていいのでしょうか?

 

 

そういうダンサー達をずっと軽蔑してきました。

 

しかしいざ忙しい身になってみると、実力を上げるどころか、下手にならない為だけですらかなりの努力を必要とする事を痛感します。

 

練習相手すらいない今の状況では尚更。

 

世界大会優勝という、明確な目標を持っていたお陰でモチベーションを維持し、毎年確実に実力を上げ、睡眠時間を削ってでもパートナーと練習してきました。

 

その目標を失った今の僕からは、今後もどんどん大会に参加して挑戦していくダンサー達が羨ましい、、、

 

昨年、世界大会で3位になったコロンビアのカップルが今年発表した作品を見て、その成長の大きさに「畜生、、、俺が立ち止まっている間にこんなに進んでいる、、、」と焦りを感じたりします。

 

きっとロシア勢も更に更にパワーアップしてブエノスアイレスに降り立ち、その侵攻を阻止すべく立ちはだかる本場アルゼンチンのダンサー達とのしのぎを削る戦いになるでしょう。

 

恐らくもう大会には参加しませんが、僕も負けていられません!!!!

 

アジア大会の感想

 

さて、先週アジア大会を2日間フルに見に行って思ったことがあります。

 

ここでは正直に、すごく傲慢な言い方をあえてさせて頂きます。

 

それは「僕に焦りを感じさせるようなダンサーはいなかった」事です。

 

書いていて自分でも何て傲慢な物言いなんだと思いますが、事実です。

 

 

ピスタ部門には素敵なカップルが何組かいてとても楽しませて頂きましたし、世界大会でも活躍するだろうなーと思いましたが、ステージ部門はハッキリ言って見ていて苦しかったです。

 

 

少なくとも安心して見ていられたのは、優勝した上海からのペアと2位のジャカルタからのペアくらいでしたので、妥当な順位と思います。

 

 

安心して見ていられないというのはどういう意味か?

 

これは「安定感の無さ」の一言で説明できます。

軸はぶれぶれ、動きは力任せ、ペアのタイミングはズレて不自然。

 

アマチュアのペアや、プロでもまだタンゴの経験の浅いペアなら当然のことです。

受けたレッスンの量や、勉強や練習してきた時間がまだ足りないのですから。

 

しかしながら、もう長いことタンゴを踊っていてプロダンサーとしても先生としてもたくさんの実績を誇る、僕の先輩ダンサー達ですらそうなのです。

 

先輩ダンサー達を批評するのはとても生意気ですし、顰蹙を買うかもしれません。

 

ですがプロとして公にパフォーマンスをしている事が、批評を受け止める覚悟の表れだと解釈していますのでさせて頂きました。

 

僕は、彼らの才能や費やしてきた努力、払ってきた犠牲を疑いません。

しかし「ダンサーとして大事な事に気がついていないのでは無いか?」と思ってしまいます。

アジア大会の最後にタンゴ界のレジェンド、ホルヘ・トーレス先生が仰っていた内容とかなり被りますが、僕なりの言葉で書いてみます。

 

 

トップダンサーの真似をするな

 

問題の原因は「トップダンサーの真似をしている」事に尽きます。

 

ここで注意したいのは、真似自体は悪いことでは無く、むしろ良いことだという事です。

無から何かを作り出すことはできません。

多くの芸術家は真似をするところから始まります。

 

憧れの歌手、画家、俳優、ダンサー、、、、みんな憧れの誰かと自分を重ねて真似します。

そしてその真似をするプロセスでたくさんのことを学びます。

 

表面的な部分だけを真似しても、何故かサマにならない。本物とは程遠いなぁ、、、何が違うんだ?と細部に気を配るようになります。

 

そして細部の違いに気がついて実践してみても、どうしても再現できない。試行錯誤するも、何かが違う。

 

その経験を通して、外から見ただけではわからない「未知の技術」の存在を理解できるようになります。

 

ここからは自分の力だけではどうにもならないので、その「未知の技術」の正体を知っている先生に教えを乞う事になります。

 

そして先生はその技術を伝授します。一生懸命レッスンに通い、徐々に習得していきます。

 

よし、これでやっと憧れの芸術家と同じ事が出来るようになるのか。

 

 

いいえ、、、、、

 

 

残念ながら、、、なりません、、、、

 

 

「かなり近いこと」は出来るようになっても、同じようには決してできません。

 

何故なら、貴方は彼でなく、貴女は彼女では無いからです。

 

体格、運動神経、身体能力、性格、センス、発想、アイデンティティ、イデオロギー、歴史、経験、環境、、、、、同じではありません。

 

そしてそれに気がついて、その堪え難い事実を受け入れることから全てが始まります。

 

憧れのダンサーを追いかける過程の中で身につけた技術、センス、経験を生かして自分の踊りを模索して作り上げるしかありません。

それが、本当に自然で美しい「自分のダンス」を踊る健全な道のりであると思うのです。

 

「劣化コピーダンサー」の限界

 

例えば僕が、大好きなマイケルジャクソンのダンスを必死に練習しても、誰に習っても、何年やっても、僕はマイケルジャクソンのダンスは踊れません。

 

「劣化コピー」でしか無いのです。

 

最初からモノマネという芸風で売っているならまだしも、仮に僕がオリジナルのフリをして、舞台上でいくらマイケルの踊りを踊っても、それが真似であることはすぐバレますし、オリジナルと比べて劣化している部分が観客の目についてしまいます。

 

これでは誰も感動させることはできません。

 

実はタンゴ界では、「劣化コピーダンサー」が世界中で溢れかえっています。

 

世界大会の決勝にすらいます。

 

かなりレベルの高い「劣化コピー」ですが、彼らが優勝をした試しはありません。審査員のマエストロ達の目は節穴ではありません。

 

そして、逆に全く先輩ダンサー達の真似をせず、ほとんど独学のように踊っているダンサー達もいますが、彼らのほとんどは技術もセンスも不足しています。

 

どちらかが欠けてもダメなのです。

 

ですから、今までずっとトップダンサーの真似をしてきたダンサー達は今こそありのままの自分と向き合い、認めた上で自分の踊りを創り上げて頂きたいのです。

 

自分より技術も身体能力も圧倒的に高い「誰か」の踊りを、無理に踊る必要など全く無いのですから、、、

 

 

そして少し自信過剰な、最初からオリジナルの踊りを表現しようとしている人たちは、一度考えを改めて真似をするところから始めて頂きたいです。

 

温故知新は、それほど大事なのです。

 

 

ダンス、タンゴへの熱い情熱を語り出すとキリがありませんので、長くなりましたので、今日はこの辺で^^